このブログには、営業職として働いてる方が、多くおとずれてくれています。
なかでも、営業マネージャー(責任者)として、自分も営業活動をしながら、部下・チームメンバーをひきいているプレイングマネージャーの立場の人も多いです。
マネージャーの立場になると、自分だけでなくチームの成績も高めないといけないので、
- どうやってリードしたらいいかわからない
- 精神論ばかりになってしまって、部下・メンバーから嫌われてそう
- 部下・メンバーのお手本になるような動きや指導ができない
- チームの営業力を上げるために、何をしたらいいかわからない
というようなお悩みをよく聞きます。
この記事では、私が営業マネージャーをしていたときに、チーム全体の営業力を上げるために実践していた手法・考え方を紹介します。
営業マネージャーとしての経験
まず、私の簡単な経歴です。
1社目:中堅広告代理店で営業・営業マネージャー(4年)
2社目:ITベンチャー企業で営業・営業マネージャー(5年)
3社目:大手IT企業でマーケティング職(現在)
1社目の広告代理店や、2社目のITベンチャーで勤めているときに、
- プレイヤーとして新規・既存営業をやったり
- 新規開拓営業チーム(フィールドセールス)の立ち上げやマネジメント
- 既存深耕営業チーム(カスタマーサクセス)のマネジメントをしたり
それぞれの期間は長いとは言えないものの、濃い時間で「営業」という仕事に向き合ってきました。
その中で、
- チーム全体で安定的に成果を残すには何をしたら良いか
- 自分だけでなくチームメンバーの成果をいかに高めるか
- 誰でも再現できて、すぐに実践できるような営業アクションはないか
などについて、よく考えていました。
また、マネージャーという立場上、反対に自分が他社から「営業を受ける」という機会も多く、そこからの気づきをこのブログで色々書いてます。
以下では、当時の営業マネージャー時代にチームで実践していた方法・考え方を紹介します。
「うまくいった商談」とはどういう状態か?
当たり前ですが、営業活動=お客さんとの成約を目指すわけですが、そのために顧客企業と「商談」をします。
「商談」とは、「お得意先・見込客などに対して、商品・サービスの取引を納得してもらうための交渉、相談の場」という意味
https://www.sunbridge.com/blog/dictionary/sales_marketing_words/ より引用
法人営業の場合、一回の商談で「はい、買います」となることは少なく「次は、上司や他部署も交えて紹介してください」というように、何回か商談がされることがふつうです。
では「うまくいった商談」とはどういう状態でしょうか?
例えば、
- 次の、アポイントメント日がその場で決まった
- 次は〇〇について聞かせてほしい、と相手から要望された
- 次は、私の上司に紹介してください、と依頼を受けた
- 見積の依頼を受けた
- 相手の課題を引き出すことができた
など、いろいろあります。
こちらの記事で書きましたが、
私が営業マネージャーをしていた時は「次にまた会ってもらえる状態= うまくいった商談」として、チーム内のルールにしたところ、営業成績が安定的にあがっていきました。
このように「うまくいった商談とはどういう状態か」を、まずチームで決めるべきです。
オススメは上記のとおり「次に会ってもらえる状態」であれば成功した、とすることです。
こうすることで、下記することがしやすくなります。
それでは、営業マネージャーとしてチームで実践していたことを紹介します。
①成約までの理想の商談回数・流れを決めておく
まず、成約までの理想の商談回数とその流れを、チーム内でことばにしておきましょう。
参考までに、私が当時チーム内で決めていた理想の回数とその流れの当時のメモを書き起こしたものです。
商談回数 | 目指す状態(常に「次に会ってもらう」が目的) | そのためにすること・気をつけること |
---|---|---|
1回目 | 先方社内のお悩みや課題を深いレベルで聞き出せている 担当者のやりたいことや構想が深いレベルで引き出せている この会社での意思決定者(買うことを決める人たち)が誰かを聞き出せている | 2回目に会ってもらえるような「良い宿題」を見つけて持って帰ること 何でご連絡取るのが望ましいかを聞いていること |
2回目 | 具体的な導入イメージを持ってもらえている状態 次回の場で、意思決定者に出てきてもらう約束ができている状態 見積もりを出せる状態 ※1回目で意思決定者がきき出せてない場合は、ここで絶対聞き出す | ・具体イメージしてもらいやすい事例を提示する 次回の場のために、担当者をこっちの味方にするように持っていくこと 見積もりは即効出す |
3回目 | 意思決定者に商談の場に出てきてもらう・成約までのスケジュールを話せてい状態 | 相手がレイヤー高い人が出てくれるのなら、当社も上席を同席させて外堀埋める |
これを考えるときは、過去の受注までのパターンで一番多かった流れを振り返って、ベースにするのが良いです。
当時の私のケースでは「3回で成約する(ダメそうならダメと判断する)」に設定しました。
法人営業の場合、決済金額によって顧客企業の決済レイヤーが変わるので、自社の製品・サービスの価格帯からも検討してみましょう。
いつも必ずこのような流れになることはないですが、一度ことばにしておくことで、チーム内での振り返りがしやすくなります。
②商談時間(60分)の配分を決めておく
成約までの理想の流れを整理したあとは、「商談」の理想的な流れと時間配分をことばにしておくべきです。
参考までに、当時の「1回目の商談(初訪)」の理想の流れのメモの文字おこしです。
経過時間 | やること・よくする質問 | メモ |
---|---|---|
初めの5分 | 初めの挨拶、名刺交換とか アイスブレイク | 特になし |
6〜10分 相手に信頼してもらう時間 | 自己紹介・会社紹介 | ありきたりな自己紹介はしない 相手は色々営業受けているので、埋もれないことが大事 |
11〜30分 お互いを知る時間 | 相手の会社での役割は何か? どんな気持ちや課題意識で今の部署で働いているか? どんなことがきっかけで、当社に関心持ってもらったか ※絶対に、クローズド質問で! | 初回はここが一番大事 自分の自己紹介から相手の役割の聞き出しにつなげると引き出しやすい(=返報性の法則) 一方的に話せはいけない、会話 ずっとここで盛り上がる方が良い状態(★) |
31〜45分 当社を知ってもらう時間 | 自社製品の紹介、デモンストレーション 意思決定者を聞き出す | ↑で盛り上がって相手の話が弾んだら、そっちを絶対に優先 2回目で話せば良い |
46〜55分 次に繋げる時間 | 次回のアポ・予定を決める 次回、どんな情報を持ってきたら役に立てるかをきく | 次に繋げるための”結び” 自然に「では次回は〇〇について話しますか?」に繋げる(★) |
最後の5分 | お見送りいただく | うまくいかなくても、エレベーター前まで「次に会う口実作り」をあきらめない 雑談からつながることもあるぜ |
このように理想的な商談の流れを大体決めておくと安定的に次につなげやすくなります。
この章の話から少しそれますが、上記の(★)部分が大事なポイントなので、せっかくなので紹介します。
相手との話が盛り上がったら流れにこだわらない
まず、この流れはあくまで目安として程度で問題ありません。
大事なのは、お互いのことを知ることなので、もし話がもり上がったらその流れをたち切ってまで、次にいく必要はありません。
もり上がってるということは、相手もこちらを信頼して、課題や構想を教えてくれてたり、悩みを共有してくれているという状態です。これはとても良い商談です。
仮に、時間切れになって、「当社を知ってもらう時間(製品紹介など)」が少なくなった場合は、むしろ次の予定をその場で取ってしまえるチャンスです。
これはとても重要なポイントで、この後の「③相手が話す時間 > 自分が話す時間」で再度ふれます。
次につなげる「口実」が超大事
さきほど「うまくいった商談 = 次にまた会ってもらえる状態」と書きました。
なので、次に会ってもらえるイイ感じの宿題や口実を、商談の終盤のタイミングで自然に提示できるのが望ましいです。
法人営業のよくあるケースだと、
- 御社と近い課題に対して、当社内での成功事例をご紹介できますがいかがでしょうか?
- 今日は貴社の課題をいろいろご共有頂いたので、次回は当社製品の紹介を御社の課題解決につながるようにご紹介させてください
- 御社の業界に詳しい担当がいるので、その者をぜひ連れてこさせてください
などなどです。
このように、次にまた会ってもらえる口実を自然に提示することが大事で、理想の時間配分をあらかじめことばにしておくことで、これが格段にやりやすくなります。
③相手が話す時間 > 自分が話す時間
うまくいった商談といかなかった商談を振り返ると、相手の話す時間よりも、自分が話す時間の方が長いことが多いです。
特に、初めての商談でうまくいかなかった時には、これがよく起こっています。
これは、反対に「営業を受ける立場」になるとわかります。
ほぼ初対面の人に一方的に話されるのって、よっぽど自分が興味ある話じゃないと、とても苦痛だと思いませんか?
それも、まだ興味がわいていない相手の会社の製品とかの話をです。
もっと身近なシーンで捉えてみましょう。
コンパとか友達といるときに、自分の事を話す時間は注目あびて気持ち良いけど、相手に自分語りされてるときってウザいって思いませんか?
よっぽどおもしろい友達、好きな相手、尊敬してる人の話を聞いてるときじゃないと退屈ですよね。
それと同じです。
次につながる商談にするには、相手にいい気持ちになってもらう必要があります。
そのためには「相手の話す時間 > 自分が話す時間」という状態にしないといけません。
これは、特に、序盤の商談だと鉄則です。
おすすめは、チームメンバーで商談を録音して、定期的に聞き返すことです。しっかり相手の話す量が多い状態の商談ができているかを確かめます。
慣れてない人は、すぐに自分が話したり、スクリプトを読むことに逃げてしまって、相手の話を引き出すことをさけます。
こうならないように、チーム内でコツを共有し合うことが大事です。
④絶対に「クローズド質問」をする
商談で、無邪気に「御社の課題ってなんですか?」「今ってどういうお悩みがありますか?」と質問している人がよくいます。
営業トレーニング本にもよく書いてますが、このようなオープン質問をするのは、相手にストレスをかけてNGです。
このようなオープンな質問じゃなく、どんな質問もクローズドな質問にして投げかけるべきです。
オープン質問:相手が文章でこたえる必要がある質問 クローズド質問:「はい」か「いいえ」で答えられる質問
これも身近なシーンで捉えてみます。
コンパで、ちょっといいなぁと思ってる女の子から「どんな女の子がタイプ?」って聞かれたとき、あなたは何てこたえますか?
頭を高速回転させて、その子に気に入ってもらえるような回答や、嫌われないような回答を考えますよね。
オープン質問をするってのは、そういう頭の高速回転を相手にさせているってことです。
そうではなく、例えば「料理得意な女の子とって好き?」と聞かれたら、間髪入れず「好き!」とこたえられると思います。
このように、商談の場でも相手のストレスにならないように、はい or いいえでこたえられる質問をするのが超大事です。
すでに関係性ができていたり、こちら側が名のある一流企業やコンサルティング会社ならまだしも、
どこの会社かもわからない営業から「御社の課題は何ですか?」「〇〇さんはどういうお役割なんですか?」と聞かれても、受け手は頭で整理するのがしんどいです。
もし相手が話してくれたとしても、あさい事しか話をしてくれないでしょう。
そうではなく、クローズド質問で、
- 聞いた内容から「私的には〇〇や▲▲な部分が御社の課題だと感じてるのですが、近いですか?」とか
- 「さっきのお話から、〇〇さん的には、▲▲のようなことをされたいって受け取ったのですが、ズレてませんか?」などの投げかけをして、
相手が「はい or いいえ」でこたえられるような質問をチームメンバー全員ができるようにならないと、うまく商談を進めることはできません。
外れてもよいので、いつもクローズド質問ができる営業チームは、営業成績が安定して高いです。
おさらい
以上、今回は私が営業マネージャーとして、チームの営業力をupさせるために実践したことを紹介しました。
まとめると、
- まず「うまくいった商談」の定義を決める(特になければ「次にまた会ってもらえる状態」とする)
- 成約までの理想の商談回数・流れをことばにする
- 商談の理想の時間配分・流れもことばにする(ただし、もり上がること重視であくまで目安)
- 相手が話す時間 > 自分が話す時間を徹底する
- 絶対に「クローズド質問」で質問する
となります。
新しく営業マネージャーになった方や、営業成績を高めたい方の参考になれば幸いです。